糖尿病治療について
糖尿病治療は「運動療法」「食事療法」「薬物療法」の3つに分けられます。
これらは個々に独立した療法ではなく、お互いに関連しあう相互関係を持った治療法です。
3つのうち「運動療法」「食事療法」に力を入れる事で自ずと「薬」を減らすことが出来るのです。
クリニックの待ち時間に運動をされる患者さんも多く、効果的に脂肪を減らす運動、体力を増やすための運動、血管年齢を若返らせる運動、筋肉を増やす運動など、併設の運動療育センターでは状況に合わせた内容で取り組むことができます。
またトレーナーの指導のもと運動を続けることによって血糖値が低下し、他にも中性脂肪やコレステロール値、高血圧の改善、肥満の解消、血管年齢の改善、骨密度の増加、といった効果がでています。目標を持って継続して運動をしましょう。
栄養指導というとエネルギー量の計算や食生活の改善ばかりが中心だった時代背景もありました。しかし、現在は患者さん一人ひとりの生活に合わせて無理のない方法を見出し、食事療法としての目標を実現に導くことが栄養指導です。糖尿病の患者さんにおける理想的な食事というのは、なかなか受け入れてもらえません。
だからこそ、出来ない時にはどうすれば良いのか、その工夫や方法を提案していくことで食事療法における問題点を管理栄養士と共に解決し、効果的な糖尿病の改善を目指します。
糖尿病の患者さんに起こる可能性が高いのが糖尿病性網膜症、糖尿病性腎症、末梢神経障害といった3大合併症です。
他にも脳梗塞や心筋梗塞が多いのも深刻な問題で、それらと関連の深い血管の障害や動脈硬化の状態を即座に調べることで後々合併症で要介護や要支援の生活にならないための対策をとっています。
また骨密度の検査を腰と大腿骨頸部で測定することで骨粗鬆症の早期発見、早期治療を可能にし寝たきりの予防に努めています。そして患者さんの「健康寿命を延ばす」ことを目指しています。
糖尿病治療でインスリンを出来るだけ使わないようにする為には「運動療法」「食事療法」をしっかりする事が重要です。
「運動療法」は運動療法専門の運動センターを併設し受診時の待ち時間にも運動をすることが出来ます。「食事療法」は管理栄養士が常駐しており、いつでもアドバイスを受けることが出来ます。
すなわち薬を減らす為、出来るだけインスリン治療にならないために「運動療法」と「食事療法」の2つを同時に行えるのが当院の最大の特徴です。
糖尿病や合併症の進行は血糖コントロールの状態だけでなく、一人ひとりの「体質」もまた重要です。
早い段階で傾向を知り対処する為、専門スタッフによる様々な検査や各科専門医による診断を行っています。
糖尿病専門医に治療を受けていても、どうしても合併症の予防・治療は必要になってきます。
その場合には眼科・腎臓内科・皮膚科・肝胆膵内科・内分泌内科(甲状腺科)・循環器内科・
整形リウマチ科・呼吸器内科の専門医が定期的にフォローアップ致します。
即ち一人の糖尿病専門医が合併症の予防・治療を行うのではなく、
各専門の医師が合併症に対応しているのも当院の最大の強みといえます。
血液中のブドウ糖を血糖といい、血液中のブドウ糖の割合を血糖値と呼びます。
食事をすると一時的に血糖が増え血糖値が上がりますが、
膵臓から出ている「インスリン」というホルモンの働きで血糖値は一定の範囲に治まっています。
ところが糖尿病になるとインスリンの量が少なくなったり、効きが悪くなったりして
血糖コントロールが上手く行われず、血糖値の高い状態が長く続いてしまうのです。
糖尿病を治療せずに血糖値が高いまま生活を続けると血管の老化は早く、
次第に血管は硬く脆くなっていきます。いわゆる動脈硬化が進むわけです。
そして糖尿病性網膜症、糖尿病性腎症、糖尿病性神経障害などの微小血管障害、
狭心症、心筋梗塞、脳梗塞などの大血管障害など、様々な糖尿病合併症を引き起こします。
更に合併症の殆どは一度病状が進んでしまうと後から元の状態に戻すことは極めて困難なのです。
以前は糖尿病の人は糖尿病でない人に比べて寿命が10年短いと言われていました。
現在は少し差が縮まっていますが糖尿病は寿命が短いままです。
では健康寿命はというと糖尿病の人は、糖尿病でない人よりも
移動や食事、更衣、排泄、入浴などの日常生活動作の障害が6~7年早く進行し、
また1~2年長く続くことが示されています。
ですが血糖値を良好に保ち、合併症を予防すれば健康寿命を大きく延ばすことは可能です。